第1回「まずは600点突破を目指そう」

初心者が最初の目標として設定したいのは600点です。
決して簡単に取れるスコアではありませんが、近年のTOEIC平均点は580点前後です。
決して高望みの数字ではないと言っていいでしょう。
力試しのつもりで経験もなくいきなり模試に挑戦すると、時間内に解けきれない問題も多くて、課題もあまり見えてきません。まずは基礎力をつけることに集中すべきです。
基礎固めに欠かせないのは、英文法と英単語の習得。そして短文を繰り返し聞いて英語の音に慣れ、「読む」「聴く」の基本的能力を養うことです。
リスニングならPart 1~2、リーディングならPart 5といった、比較的簡単なところを確実に正解できるようにしておくと、初心者には難解な会話の応酬や長文読解問題に太刀打ちできなくても、600点に届く可能性が出てきます。
準備期間はレベルによって異なりますが、「大学受験で英語を学んだ人であれば、3カ月から半年ぐらい」を想定してみてください。

 

 

①目標正解数を把握する

600点を取るには、全問のうち62〜63%を正解する必要があります。
大変そうに聞こえるかもしれませんが、約4割の問題は捨てられると考えれば気持ちも楽になりませんか。
さらに自力で50問を正解すれば、設問は4択のマークシートなので、残り50問×1/4=約12問は正解する可能性があります。
目標圏内に届いていると考えてもいいでしょう。
TOEICは英語のコミュニケーション能力を測定するテストです。
わからない問題があったらそこに時間を注がず、次に進んでわかる問題を解くという判断も大切です。
全体の半分に対して、自分が集中するのはここだ、と狙いを定めることが大切です。

 

 

②単語を覚える

受験で英語が得意だったとしても、数年のブランクがあれば忘れてしまいますよね。
また、TOEICには社会に出て初めて使うような表現も多いです。
心機一転、必要な英単語を覚え直していきましょう。
とは言うものの、覚える量はそんなに多くはありません。
受験英語のような専門的・学術的な単語はTOEICには出てこないので、必要な単語を約600語ほど覚えれば全体の7割、1,000語をマスターすれば9割方はカバーできます」。
TOEICテストの半分はリスニングなので、単語は音、意味、使い方の3つをセットにして覚えたいところです。

 

 

③短文を聞き取る

TOEICのテストはリスニングとリーディングともに495点満点です。
しかし600点の内訳が、両方とも300点という人はごく少数で、リスニングで350点前後、リーディングで250点前後であるのが一般的です。
リスニングのほうが話し言葉で若干簡単なため、スコアが取りやすいんです。
とはいえ音に慣れていないと、ナレーションにはついていけません。
まずは短文を正確に聴き取る練習から始めましょう。
効果的な方法が、英文を聞いたら一旦停め、覚えた英文を書き取るディクテーションです。
文を書くことによって、音が聞きとれているかどうかを確認することができます。
しかし書くのは手間がかかるので、慣れてきたら、英文を聞いた後に音を一旦停め、覚えた英文を復唱するリッスン&リピートへ移行しても構いません。
英文を音読することで、話す基礎力が自然と身につくメリットもあります。

 

 

④文法を理解する

前述したように、リスニングよりもリーディングセクションの方が難しいです。
中でもPart 6の長文穴埋め問題、Part 7の長文読解問題は、初心者では歯が立たないこともあります。
そこで一番与しやすいPart 5の短文穴埋め問題に最初のうちは力を注ぎたいです。
そこで鍵を握るのが文法です。
TOEICに出てくる文法問題は、出題パターンが限られているので、法則さえ押さえておけば大体の問題は解くことができます。
短期のスコアアップも期待できます。
英文法に特化した参考書で基本パターンを習得した後は、もうひとつ上のステップへ進みましょう。
短文は、S(主語)+V(述語)+αから構成されています。
どんなに長くても、S+V+α+接続詞+S+V+αの2文です。
目指すのは、問題文を意味のかたまりごとに分けられるレベルです。
解答スピードの向上につながります。

 

 

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ライタープロフィール

濵﨑潤之輔
濵﨑潤之輔
早稲田大学政治経済学部経済学科卒業。明海大学や獨協大学、ファーストリテイリングや楽天銀行、SCSK、エーザイ、オタフクソースなどの企業でTOEICテスト対策研修講師を務める。これまでにTOEIC L&Rテスト 990点(満点)を60回以上取得。TOEIC L&Rテスト対策セミナーなども開催。NHK『入門ビジネス英語』「濵﨑流! あせらず学ぶ英文法」連載中。著書に、『中学3年間の英語が1冊でしっかりわかる本』(かんき出版)、『TOEIC L&Rテスト 990点攻略』(旺文社)、『はじめて受ける TOEICテスト パーフェクト入門』(桐原書店)など多数。