一杯のウイスキーから生まれた物語(前半)

私が持っている「当たり前の価値観」と、相手が持っている「当たり前の価値観」は違う……けれど、私たちは普段の暮らしの中で、その違いをどれだけ意識することができているでしょうか。

 
 
 
 
 
一人ひとりがそれぞれの目的で搭乗する飛行機。

その毎日のフライトでは、たくさんのストーリーが日々生まれています。

そんなストーリーと巡り合うCA(客室乗務員)にお話しを伺い、心がほっこりするような物語とともに、皆さんの生活がさらに豊かになるようなヒントをご紹介していきます。

AIの時代、どんなに便利な世の中になったとしても「私たち人間同士だからこそ生み出すことができるストーリー」がそこにはありました。

 
 
 

今回のゲストはソライロモンド のメンバーでもある田中ロウマ(たなか・ろうま)さん。

大学卒業後、製薬会社にてMR(医薬情報担当者)を経験し、その後、国内エアラインに客室乗務員として入社。その後、カタール航空に入社し、異文化である中東での生活を送りながら、世界80カ国を飛び回りました。

その後日本に帰国し、エアライン専門学校に講師として勤務。

現在はヨーロッパ系エアラインで乗務をされながら、エアライン受験生のサポートもされています。

 

 

堅実な製薬会社を辞めてCAになると決意。両親を説得するためにまずしたこと

 

――現在CAとして活躍されているロウマさんですが、本音でズバリと書かれているブログも人気ですよね。エアライン受験生からだけでなくそのお母様や、飛行機好きの男性からも支持されていると伺っております。

 
国内、中東、ヨーロッパとエアラインを渡り歩いてきただけあって、話のネタもとても豊富。男性CAさんの立場からの視点がすごく新鮮です。そんなロウマさんですが、もともとCAを目指すことになったのはどのようなきっかけがあったのですか?
 
 
 
実は、小学生くらいのときにはすでに「CAになりたいな」という想いはなんとなく持っていたんです。でも、大学卒業後は親の期待に応えようと、製薬会社のMRという堅実な道を選びました。しかし、心の中ではずっと「何かが違うなぁ……」とモヤモヤを感じていたんです。

そんなとき、ちょうどエアラインの募集が出て、ちょうど営業で島根にいた私は自問自答。

「なぜ今島根にいる? こんなことしている場合ではないよね?」と。

そして、そのまま島根から大阪まで6時間以上かけて営業車をかっ飛ばし、エアライン受験用の写真スタジオに向かいました。

 
 
 
 
 
――ご両親は応援してくれていたのですか?

いや、猛反対でした。だから相談はしませんでした。

受かる前に反対する人に相談しても、反対の意見しか返ってきませんから。相談する前に、まず行動。そして、結果を出してから説得させようと思いました。

 
 
――試験には合格されたのでしょうか?

はい。親にこっそり受講していたエアラインスクールのレッスンもたくさん残ったままで、すんなりとCAになることができたんです。母もその結果を見て、納得してくれました。

自分のステップアップは自分でやるしかありませんよ。自分で選んだ道だから、ちゃんと責任をとる覚悟もしていますし。そのうち母も、私が何をするにしても「この子は目標を決めたらそこに向かって突き進み、確実に達成していくから」と応援してくれるようになりました。

 
 
――そこから、中東、ヨーロッパと渡り歩いてきたんですね。中東での生活はどうでしたか?

カタール時代は、100 カ国以上の国際色豊かなクルーと、80カ国以上に飛び回っていました。日本線以外は、一緒に飛ぶ仲間は基本いつも国籍がバラバラです。文化、育った環境、宗教、価値観、肌の色、髪の色、すべてがそれぞれ異なります。大変なこともありましたが、やはりすごく貴重な経験をさせてもらいました。

 

 

(後半に続きます)

後半では、ネパールのカトマンズへのフライトでのある出来事。
そしてその出来事から学んだことをご紹介いたします!
 
 
 
 
 
 
 
 
 

ライタープロフィール

星名亜紀
星名亜紀
主に英語学習に関すること、留学やワーキングホリデーに関すること、旅情報などをシェアしていきたいと思っています。